監督・ナレーション 河瀨直美
音楽 ハシケン
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奈良県の東部、霊峰・高見山の麓に位置する東吉野村は、緑深き山々と高見川の清らかな流れ、四季折々の自然が美しい風光明媚な土地です。
深い歴史・文化を有する地でもあり、神武天皇東征ゆかりの地、明治維新のさきがけとなった天誅組終焉の地、ニホンオオカミの最後の捕獲地などとしても知られてきました。
喧騒を離れたこの山里を仕事場に選び、鍛刀場を設立した刀匠がいます。奈良県無形文化財保持者、河内國平氏です。
多くの名刀を生み出して数々の賞を受賞し、無鑑査認定を受けるという輝かしい経歴を持つ河内氏の原点は、師である人間国宝・宮入昭平（後、行平に改名）氏の教えにあるといいます。
「ものに自分が出てくる」と語る河内氏は、日本刀作りの技だけでなく、師から受け継いだ人間としての姿勢や生き様を弟子たちに伝えてきました。
いにしえの故郷には、かつて日本に存在した本物の師と、技と誇りを継承する尊い師弟関係が、静かに、そして熱く息づいています。
