監督・ナレーション 河瀨直美
音楽 ハシケン
-------------------
森羅万象あらゆるものに神霊が宿ると信じていた古代の日本人は、雄大な山を畏怖し、崇めました。
この原始的な山岳信仰は、神道や仏教、道教などと結びつき、やがて「修験道」という日本独特の宗教が誕生します。
修験道とは、山に籠って修行をし、神秘的な力を得て衆生の救済を目指すもので、吉野の金峯山寺は、その総本山として知られてきました。
7世紀後半、役行者が金峯山に修行に入り、金剛蔵王大権現を感得し、その姿を桜に刻んで祭祀したのが寺の開創といわれます。自らの身体で体験し、心を高める実践的な修験道は、ある種、万人に向いた親切な教えでもありました。
あらゆるものを認め、受け入れてきた日本ならではの宗教だからこそ、今も多くの人々が、その道を辿っているのかもしれません。