監督・ナレーション 河瀨直美
音楽 ハシケン
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急峻な山間に集落が点在する五條市大塔町は、「舟ノ川郷」と呼ばれる木地師の集落として独自の文化・芸能を伝えてきました。
毎年1月25日に天神社へ奉納される篠原地区の「篠原踊」は、太鼓踊りで知られる古式豊かな舞踊で、「狼退治の成就を願う踊りを村総出で奉納したところ、村の平和が取り戻せた」という逸話が由来とされています。
同日、惣谷地区で奉納される「惣谷狂言」は、鬼狂言や狐釣狂言など8曲が伝えられ、村の人々によって演じられてきました。明治以降、近代文化の流入で篠原踊と惣谷狂言は衰退しましたが、第二次世界大戦後、復活・保存の取組みが進められ、昭和30年代に奈良県指定無形民俗文化財に登録されています。
交通の不便な僻遠の山間集落で暮らす人々にとって、これらの芸能は、共に助け合いながら、明るく平和に生きるための娯楽でもありました。
平成23年に襲来した台風12号で大塔町は甚大な被害を受けましたが、未来への希望を後押しするように、現在も保存の取組みが進められています。